<適切な相場単価>

      各々条件が異なるものを一概には言えないのが住宅相場なのだが、そう言ってしまうと見当もつかぬ人もいるだろうから、目安とするならば、住宅メーカーが提供している様な極一般的なデザインの30から35坪相当の家として、坪単価60万前後位が標準と考えると良いかと思う。
    坪30万を切った単価広告を目にする今日、標準的な値に不信感を抱く人も多いのだが、知って欲しいのは、

  ローコストは画期的な最先端の技術やアイディアに支えられている訳ではない事である。同じ工法で、同じ様な家を建てているにも拘わらず、それが凡そ半額で手に入るとうたっている訳だ。それでもという人は、リスクを背負って望んで欲しい。しかし、家の場合、建ててしまった後からでは目に見えない部分の改善には完全を求める事は不可能で、しかも殆どの場合建替え以上の覚悟が要される。
    もう一点承知しなければならないのは、当たり前だが、どんな家でもどんな仕様でもその単価で建てられるとは言っていない。唄い文句のローコストの単価とは、最も基本形の基本仕様で想定した場合の単価であって、単にローコストという言葉に飛びついて、騙された様に感じるのは誤りである。先ずメーカーで決めた基本形があって、そのままで良ければ幾らで済むが、何を望むとその差額分で幾らに跳ね上がるという、施主にとっては明快なシステムだと、私は思うのだが、凡そ日常的ではない金額に初めて驚く人が多い。だが、そもそも長年住むのに備える健材や工賃というものを考える時、スーパーで買い物する感覚からは脱して欲しい。建材の値段はピンからキリで、例えば仕上りの感じを少し変えたつもりにすぎなくても、色一つ変えただけであっても何万から数百万という金額が違ってくる場合もあるし、メーカーが基本として設定していた形から工事工程が変わる事ででも金額はアップする。例えば、基本使用に含まれていたユニットバスを変更して、もっと大きく高級にと変更を打診したところ、100万程のアップを要求されたと憤慨した人がいたが、基本仕様を決める事によりコストダウン化している住宅メーカーに依頼しようという人は、先ずメーカーの差額システムを理解する必要がある。騙される気がしてならない人は、差額幾ら分位以内でという頼み方をすれば、それなりのグレードを考えて相談に応じて貰える訳だし、自身も各々の建材カタログで金額を確かめ、それに対してどういう工事変更が生じ、それにどれ位かかるのかを確認した上で、その請求が妥当か不当かを判断するべきである。変更に関して一々細かに差額を請求される事を融通がきかないイライラする人は、大ざっぱな概算で工事の最中にも細かな変更に応じてくれる大工さんに頼むべきだろう。
 
 
 
 

     又、工事総額は家のみの純単価からははじき出せない。上下水道の衛生設備等が、工事費の相当な割合になるからだ。本管が敷地に近くない場合と更地の場合は、かなりの額を覚悟しなければならない。例えば、普通設計士に依頼して、特別あつらえの拘った家が欲しいという場合、坪単価7、8、90万、場合によっては120万位になっても当たり前である。
   とにかく、そうしたローコスト広告の値だけを引き合いにして、適切な見積もり額に対してただ不信を抱くのは誤りである。設計士に依頼する場合は、設計士に見積もり単価の査定と交渉をしてもらえば良いし、直接建設会社や工務店に依頼した人なら、その図面で相見積もりを他業者に取らせれば良い。

   家の場合、単純に安いが得とは言いがたい。住む人により望む事も違うからである。何に満足したいかで判断して欲しい。
 

 ところで、私自身は、無理のない範囲のローコストからプランを出発させる事を設計の基本としている事を付け加えて、<設計士とは...>の紹介を終わりたい。
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