工事費の考え方

実例と金額を解説しましょう。

母子家庭のマンション一室改装工事の例

凡そ70平米の全内装リフォームで400万                 
間取としては収納部分等で実生活にそぐわない収納部分と、
壁付きから対面式キッチンに変更する等のプラン変更のみだが、
電気、ガス、給水配管、伴う全設備器具、網戸を含める
建具、床、壁、天井の下地補修+クロス等を含めた全改装という内容。

大袈裟な間取変更は無くても、全設備変更は大きな金額となる。
目に入らない配管、解体処分費等の額も予想外に大きな額として感じるかもしれない。              
この方の場合、全予算に対して、特にキッチンに拘り、単純にこの設備だけで120万。ユニットバス、給湯器で70万。大型洗面化粧台、キャビネット、トイレ便器、ウォシュレット等で20万。
従って、この場合の内容であれば、70平米全工事で通常の相場計算をすれば凡そ700〜800万位相当も不思議ではない。が、施主のギリギリ予算は400万。
計画がルーズであれば、どんな施工方法により、どんな金額の材や製品で計算しようが、施工者の自由である。通常通りの手順で、ごく一般的なグレードで金額を入れるなら、それ位の概算にはなる。そこで、図面による詳細な指示書と、金額検討した全製品指定をした上で相見つを依頼した。
4社見積で結果、560万、830万(後に改め、390万)460万、430万。
大きく差が出たが、この内の460万の見積返答をした業者に、協力をお願いし、400万での交渉を成立をさせた。
交渉の条件として、予め指定した製品の内、デザインや設計に不可欠なもの以外の全ての指定を、この時点で外した。
何故なら、業者側にしてみれば、指定品より施工慣れしたいつもの材や製品を取り扱う方がはるかに効率的と言えるからだ。
建材や製品の各メーカーで設定している設計価格は、自由競争による差が歴然とある。
しかし、小さな業者は普段、そんな比較検討を一々する余裕は無い。
いつもの製品をいつもの価格で入れ、いつも通りの施工を行うのであれば、無駄にデスクワークに時間を費やさずに済むし、
工事中に図面やマニュアルの詳細を見ながら右往左往しないでもすむ。
だから、業者側としては指定製品の金額を比較検討した上で、施工慣れしたいつもの製品や材を使う事も自由、
他の現場での半端品を融通するのも自由だとした方が、独自の損得を判断できる訳だ。
そういう意味で、実施工に入るにあたっては、施主の希望や設計の要となる材以外は鏨を外し、
施工者判断に委ねる事も金額をかえって吊り上げさせてしまわないコツなのである。
しかし、それをするには施工者自身のモラル感も見極める事が重要だ。
前記金額の内、単に低金額提示をした業者を選ばなかったのは、総額ではなく、
その見積内容を見ている為だ。830万改め390万とした業者は最もひどいが、
殆どの業者というものは、堅実に実内容を計算している訳でもなく、実は客を覗って金額を決めている。
通常判断ならば、830万という金額でも相場ではあるが、この場合は、図面と指示書の内容を全く理解していない事になる。断ると数時間で390万という値に翻した、この業者の「予算があるならそれなりの工事をしてやる」という口ぶりに対して、
「安いからという理由では決めない。協力はお願いしても、業者を叩こうというつもりはない。誠実に工事を請け負う業者を探しているだけである。」
と、切り捨てたら、泣き脅しの姿勢に入った。それも通じない事が解ると、執拗な恐喝に転じた。だから、金額検討から交渉の段階に至るまで、あくまでも施主を表立たせる訳にはいかないのだ。こういう業者は設計事務所を通した仕事をした事がないのが判る。仕事をやらせたところで、プロを偽った成りの結果に泣かされるはめになるだろう。
最も安く提示してくれたのは430万と出した業者である。が、これには計算が無く、ただ単に、最初に聞き出した予定額に応じたに過ぎない事が一目で判る見積であった。見積が大ざっぱで悪いという見方はしないが、話してみて、経験値で出したものでは無いと判断できたので、除外した。始めてみなければ何がおこるか判らないのが現場というもので、最初に損得の計算をしない者は、思いがけない事象に対して、最期まで快く、プロの誇りを貫いて対処しきれないものである。
560万、460万と二つの業者には100万の差があるが、どちらも妥当な計算だと判断できた。工事見積は、小さな金額の積み上げの結果であるので、些細な利益差も、結果として大差に至る。460万と出した業者は、予算を聞き、それに沿える努力を見せた事が、ここの大きな違いになっている。
 施主に理由を話し、この460万を提示した業者を薦めた。
 金額交渉の成立にあたっては、施主に業者の誠意を理解した上で譲歩をする事も促し、互いに金額的不満なく工事に入れる様、施工方法等に更に調整を加え、追加請求無しの約束の元で、施主、施工業者間契約を見守った。結果、工事完了に至るまで、この業者を選んだ事に後悔する事は無かった。NEXT
 
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