暖炉のある家
    ここに、もう一つ暖炉を設置する家について加えておきたい。暖炉を設置する場合は特別な造り方が必要となるからである。暖炉や薪ストーブを希望する場合は、最初にそれを設計士に相談する必要がある。設計士の立場から言うと、それが計画の中心になるからだ。暖炉というものは扱いが難しく、火が燃える為には莫大な量の酸素が必要となる為、それを何処から供給するかを考えなければならない。火と室内を完全に遮断して、外からのみ空気を供給させる方式の場合はそれ程の問題は起こさないが、そうでない場合は家全体の空気の流れと、その供給を計画する必要がある。そして、生活者にも暖炉に対する心構えが必要となる。薪の供給は無論だが、暖炉を維持する為には毎年の煙突掃除を怠れない。いよいよ使い始めようという季節に入ったら、煙突に鳥の巣等がない事も必ず確認しなければならない。薪ストーブ等の場合の心構えも暖炉とほぼ同様である。それでも、こうした生活こそが人間本来の生活である意義を感じて貰える場合には、前記してきた家造りとは異にしたものを提案したい。
    暖炉を取り入れたパッシブソーラーの形態も考案している。屋根面で集熱した空気を、暖炉の火によって床下にひっぱり込ませ床暖を取り、壁内に暖かい空気を周回させるという構想である。夏場は蓄熱を許さず、壁材の素材そのものの冷たさで冷やりした空間を提供できるだろう。実は、暖炉をもつ家こそがパッシブソーラーの家の神髄を極める事ができる。世界に何が起きようと、家が人を生かすだろう。

    家としての機能の動力源をどうするかは、計画の最初に考える必要はあるが、何れにしても家そのものの造り方に考慮をした空間を求めるべきだと思う。私の提案する家は、場所的にも時間的にも極端な温度差異がない事を目指したもので、家としては体感的な寒さや暑さを感じさせないが、物足りなければ、ストーブ、炬燵、冷房を今までどおりに使って貰えば良い。煙草を吸うなら窓を開けて換気すれば良い。ごくあたりまえにに生活できる家、私は、そんな家造りを心がけている。
 
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送