省エネ住宅
先ず、省エネ住宅とは、建築する際の構法により、冷暖に対するエネルギーロスを抑えた効果的な住宅を言う。断熱材等、表面的には見えない部分のコストがあがるが、新築する際にしか、これを選択できるチャンスはないと考えて貰うべきだろう。構造の種類、気候風土やコストに応じて、やり方は様々であるが、自然体で健康的な空間の保証を目指したもので、生活は快適になるだろう。
    空間の構成要素が人体の健康に与える影響を侮るべきではない。ある大学の実験で、身ごもったマウスを3種の箱に分け入れてその影響を観察したものがある。一つはコンクリートの箱、一つは鋼製箱、一つは木の箱である。木の箱のマウスは極自然に子を産み、子育てにいそしんだ。鋼製の箱のマウスは多少神経質な行動を見せながらも、無事に子を産み、子育てもした。しかし、コンクリートのマウスは、子は産んだが、産みっぱなしで子育てはしなかった。箱の外へ脱出をしようとするばかりで、尋常を逸し、子ネズミの存在さえ認識しない様子が観測された。これらの箱がマウス等に与えた影響は何か、先ず、鋼の箱は触って冷たく、その厚さも薄かった為、外界の物音、気配が直接伝わり、この環境の内でマウスは常に神経を尖らせ、不安を抱いていたに違いない。コンクリートの箱のマウスが子育てを放棄した理由は何か…これに対する見解として、マウスはコンクリートによって常に体温を奪われる状況下で、生命存続不安のスイッチが入り、危機的状況における反応を示したのではないかという見方がある。
このマウスに見られた素直な反応を、人間だけ例外視するべきではなく、一生涯住む家を安普請な箱にするべきではない事を訴えたい。

   冬の暖として最も人体に無理がないのは、局部的な暖ではなく、壁や床からの輻射熱であるが、蓄熱の効果を強化する事により、空気自体を暖める無理は強いられなくなる。省エネハウスの考え方の一つに、空気そのものを逃がさない、つまり気密を取る事に終始する考え方があるが、私はこのやり方を賞賛しない。気密を取るという事に徹底しようとすると、24時間全館換気の必然が生じる。換気扇も特製のものとなり、生活者は窓の開け閉めにさえ神経質にならざるを得ない。不自然である。私は、許される限り、コストを蓄熱に回して貰えるよう提案している。壁や床を蓄熱体にする事により、空気そのもの自体を暖める必要はなく、生活に応じた換気をしてもらっても、再び空気が暖まるまで震え待つという事はない。例えば、風呂の湯気を抜く、トイレの窓を開ける、料理の際には換気扇を回すという当たり前の生活を変える必要はない。
    省エネ住宅をもっとわかり易く理解してもらうなら、断熱にコストを使い、ポットの様に外界の影響を受けにくくした家だと考えて貰うと良いかもしれない。普通の家は、冬の暖は逃げやすく、極端な暖を常に取り続けなければならない。夏は直射による屋根面、外壁面の蓄熱の影響が内側に及び、冷房の負荷を大きくしてしまう。これを解消し、外界の影響を断熱し、冷暖の効果を高めた物が省エネ住宅である。実際、断熱を強化するだけでも、夏場は除湿をする程度で充分しのげる様になる。これに一歩発展させたものがある。夏、外壁面や屋根が蓄熱されぬ様、壁内の暖気をぬき、床下に風を廻して通気をし、壁内の空気層を蓄熱層とするという壁内空気層の扱いに考慮した工法である。そして更にこれにパッシブソーラーの考えを盛り込んだものを、私は本来おすすめしている。
 
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