具体例として
1,問題点
 今、社会は急激な変化の中でバランスを崩し始めた。その要因の一つとして家族崩壊が挙げられる。では、家族崩壊の要因の一つとして、不自然な家族関係や構えた近所づきあいしか持ちようのなくなった家の間取りの変化を挙げられる。これは、近代に入って、日本的な家の形式、即ち畳と縁側、襖で構成された家を捨てた時から始まった。これがどれ程日本の四季に、そして当時の生活の理に適っていたかは説明するまでもない。が、家族崩壊の要因に家を取り上げた理由を理解してもらう為、家の変化に伴う生活の変化を具体的に挙げよう。
 襖をはずせば大宴会場といった形を放棄した時から、冠婚葬祭は全て式場で行う事になり、ご近所とは無縁のものとなった。
 縁側のある家は、近所とも付合い易かった事は言うまでも無い。もしも、縁側でチビまるこちゃんのじいさんが、ほのぼのしているのを見かけたら、通りがかったブラブラしている人は、すぐにじいさんの友達になるだろう。縁側で日向ぼっこをしている人は少なくとも忙しい状態ではない筈で、大抵気軽に話しかけても良いのが判るが、縁側がなければ窓から覗き見なければならない。これは正常な人ならしないので、呼び鈴をならして、忙しい時ではないかどうかのお伺いをたてなければならず、用事もなければ呼び鈴は鳴らせない。家人もわざわざと呼び鈴を鳴らしてやって来た人を無下に追い返す訳にもいかないので、迷惑でも忙しい素振りは礼儀として見せられない。人づきあいは、かしこまったものにならざるを得ない。
 神戸の震災後、避難施設や仮設住宅から、やっと不自由無い住居に移れても、念願だった我が家の中で不安と孤独を覚え始める人がいる。プライバシーと安全を約束する筈の壁や戸が、人を孤独に隔離する。壁や戸で仕切られた場所には、人は‘お邪魔する’、干渉、侵入といった形でしか立ち入れない。入る側も迎える側も構えた付合いにならざるを得ないのである。
 幼い内から個室を与えられた子供は、自立を促されるそのタイミングを間違えると、やがて家族との接し方も忘れて孤立する。普通、子供には成長の過程に親離れの時期があり、心身不安定な自己喪失の時期がある。それを計算に入れた間取りを取らなければ、間取りが親子を絶縁させる。家族崩壊を招く家...家庭の中においてさえ人と人とが対面する事が不自然な状態になる間取りにならぬ様、子供部屋を設ける場合には、その子供の年齢に応じた計算が必要なのである。
 
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